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7/12(水)長谷川滋成先生の講演に参加しました

 7月12日(水)9:30〜10:30、阿知須地域交流センターで開催された阿知須郷土史研究会定例会で長谷川滋成先生の講演があり、病院職員も参加しました。
 長谷川先生は、元広島大学名誉教授、山口市民文化大学学長で、漢詩、漢文学の専門家です。今回の講演では60行からなる「帰去来一首」(陶淵明氏作)を紹介され、一文一文の読み方、解釈、そして、4つの段落ごとに陶淵明氏の心情の変化を解説されました。長谷川先生の講演は一方的に話す形の講義ではなく、大学で教鞭をとられていた時と同様に、参加者に漢詩を読ませたり、詩に込められた陶淵明氏の心情について尋ねられたりと、参加者との一体感・参画意識を大切にされている先生だということを実感しました。
 中国紫桑の貧しい農家に生まれた陶淵明氏は、家族を養う目的で役人として長江(現揚子江)の九江市で働き、42歳になった時、故郷紫桑の荒れ果てた田園を想い、帰郷する決心をしたそうです。心を肉体に隷属させたことを恨み悲しみながらの帰郷でしたが、荒れ果てた故郷の家がいかに貧しくても自分には心の安らぎが得られることに感謝し、世俗を捨て、琴や本を楽しんだそうです。そして時が経ち、いよいよ死期が近づいても、財産や地位を求めるより、自然の中で心のびやかに詩を作りながら自然の変化にまかせて死んでいくことを望む心境が描かれています。つまり、この漢詩には、本来いるべきところへ帰る、という意味の「帰ぐ(とつぐ)」の心情が流れていると、長谷川先生は熱く、そして迫力ある語り口で参加者に訴えられました。
 会場一杯となる約30名の参加者は、長谷川先生の語りに引き込まれ夢中になって聞き入っておられました。
 長谷川先生、高校時代の国語(漢文)の授業は、ただ入試に備えた表面的な勉強しかできていませんでした。漢詩に流れる作者の心情がこれほど痛切に響いたことはありませんでした。本当にありがとうございました。また、ぜひ別の機会に長谷川先生の講演を聴きたいと思っています。
                            サービスセンター
                            田中 公志 記

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